聴いたもの Vol.7
最近聴いたceroについて。
Yellow Magus/cero
2013年発売のシングル。ツアードキュメントとライブ映像のDVD付き。
重要なことは囁かれ、つぶやかれるのか。
「Yellow magus」は、イントロから思わず体が動いてしまうリズム。とても格好良い。ブラックミュージック色が強いように感じるけど、歌詞が神秘的な物語というところがなんとも良い。前作「My Lost City」では船旅の物語が多かったけど、今作で、船は海を捨てて砂漠に上陸する。鬼火がうごめく砂漠は、この世のものではないようなイメージ。最後の航海では、どんな旅を経てどんな世界に行き着いたのだろう、と想像が膨らむ。
「我が名はスカラベ」古代エジプトでは崇拝の対象ともなっていた「スカラベ」の歌。スカラベはフンコロガシだということを初めて知った。アヌビスやアムドゥアトなど、冥界に関する言葉(これも初めて知った)も多く登場するスリリングな曲。
「ship scrapper」はその名の通り、船舶解体屋の歌。「ヨーホー」や「ハイホー」なんかを連想する、軽快なリズム、とは裏腹に物悲しく哀愁の漂うメロディーと歌詞に心を摑まれる。「船の時代はもう終わり」というフレーズや、最後の船で見つかる「ギラギラ光るナイフ」に、前作との繋がりを感じてはっとする。
「8points」の8という数字が何を示すのかはわからないけど、前の3曲とはちょっと距離感があるような曲だと感じた。「あとがき」みたいな。
cero / Yellow Magus【OFFICIAL MUSIC VIDEO】 - YouTube
Orphans/夜去/cero
2014年に発売された、両A面シングル。こちらもライブ映像のDVD付きで嬉しい。
「Orphans」は、イントロからいい予感しかしない。実際、とてもいい。
防水CDプレイヤーで浴室で聴いていたんだけど、チープな音質と浴室特有の篭った響きがなかなか良い演出になっている気がする。現実と非現実がとろけ合ったような、不思議な世界。映画のように情景が思い浮かぶ。ちょっと切ない気持ちになるのは、「別の世界」への憧れのようなものを感じるからか、「Orphans(孤児)」というワードからなのか。
「夜去」は、高城氏がライブで「思い入れのある曲だ」というようなことを言っていたような気がする。ローマ字表記は「YOUSARI」。「とてつもなく巨大なレコードのうえ」という歌詞がまた登場する。あの世とこの世の境目のラブストーリーのような世界だけど、悲しいとか寂しいというよりも、美しくてロマンチックな印象を持った。
上記2曲は、コーラスに一十三十一が参加している。気付かないで聴いていたけど、なんとなくひっかかるものがあったのはそのせいだったみたい。
「1つの魔法(終わりのない愛しさを与え)」は小沢健二氏のカバー。がつがつしてて弾んでて楽しげ。
3曲なので、すぐ1周してしまうのだけど、何度聴いても飽きないシングル。
cero / Orphans【OFFICIAL MUSIC VIDEO】 - YouTube