クリームソーダ

音楽とミステリーと、時々Jリーグ

読んだもの vol.9

 

最近読んだものについて。

 

 

金田一耕助ファイル11 首

首/横溝正史

滝の途中に突き出た獄門岩にちょこんと載せられた生首。まさに三百年前の事件を真似たかのような凄惨な村人殺害の真相を探る金田一耕助に挑戦するように、 また岩の上に生首が……。被害者は村にロケに訪れた映画監督だった! 名推理に照らしだされる以外な事実、そして二つの事件の関係とは?表題作「首」など猟奇的事件を鮮やかに解決する四つの名推理。秀作ぞろいの事件ファイ ル。(「花園の悪魔」改題)

 表紙怖すぎ。短編集なんだけど、4編中3編で死体凌辱が描かれていた。グロテスクな表現も多くてなかなか陰惨だったけど、金田一耕助や警部の人情味でいくらか緩和された。

特に印象的だったのは「生ける死仮面」。光子のキャラクターが強烈だった。

 

 

 

金田一耕助ファイル12 悪魔の手毬唄

 悪魔の手毬唄横溝正史

岡山と兵庫の県境、四方を山に囲まれた鬼首村。たまたまここを訪れた金田一耕助は、村に昔から伝わる手鞠唄の歌詞どおりに、死体が異様な構図をとらされた殺人事件に遭遇した。現場に残された不思議な暗号はいったい何を表しているのか?事件の真相を探るうちに、二十年前に迷宮入りになった事件が妖しく浮かび上 がってくるが……。戦慄のメロディが予告する連続異常殺人事件に金田一耕助が挑戦する本格推理の白眉!

 動機がまったく理解しがたい。被害者にも加害者にもあまり心を動かされなかったけど、唯一、「山椒魚」の真相だけが切なかった。

戦後だからなのか、若者の通夜でもどんちゃん騒ぎしているのは何度読んでも慣れない。

 

 

 

金田一耕助ファイル13 三つ首塔<金田一耕助ファイル> (角川文庫)

三つ首塔/横溝正史

少女時代に両親をなくし、伯父宅に引き取られた音禰に、遠縁の玄蔵老人からの遺産、それも百億円相続の話がまい込んできた。が、それには見知らぬ謎の男と の結婚が条件という。思いもかけない事態にとまどう音禰の周辺で次々と起きる殺人事件。おびただしい血が流された魔の惨劇の根元は、玄蔵が三人の首を供養 するために建てた“三つ首塔"に繋がっていた――。

 語り手の立場が斬新で面白かった。「警察から逃げる」立場からの視点なので、金田一耕助も警察もほとんど登場しなかったが。その間に何人もの犠牲者が出て、警察は何をやっているんだろう、と心から思った。

トリックなんて皆無で、推理小説(?)という感じだが、愛の逃避行がスリリングで素敵だったのでいいや。そんな素敵な2人だけど、最後の最後でお金にがめついところがちょっと笑えた。